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2013/03/10 12:00

利は義の和 『易経』

現代社会を生きていく上で、経済は必要不可欠ですが、
とかく目の前の「利」を追いかけてしまう傾向にあり、
物事の道理を弁えずに経済活動を行っている限り、
結果として「財」は手元からこぼれていきます。

「利は義の和」と『易経(えききょう)』の乾為天に出てきます。
「利の本(もと)は義」は『左伝(さでん)』の訓戒です。

「利」は「禾」と「刂」で出来た漢字で、
「禾」は穀物をあらわし、「刂」とは刀をあらわします。
穀物を刀を使って収穫すること、またはその収穫物が「利」です。
古は農業が主流でしたから、「利」を使ったようです。

「義」は「道理に基づいた行動」「仁に基づいた行動」と解釈しています。
それと同時に「義は宜(ぎ)なり」と『説文』に記されております。
ちなみに、『説文』とは辞書のことです。
「宜」とは「よろしい」とも読みます。
「よろしい」とは、道理に適っている、という意味で、
これも農業を考えると、自然の流れ、四季の移り変わりや天候に沿って
農業を営んでいることを意味すると解釈しております。
春に種をまき、夏に繁茂し、秋に収穫し、冬には土壌を養う。
これが道理に適った農業のありかたで、「よろしい」状態です。
冬に種をまいても農作物は芽を出さず、実らず、収穫はありません。

「利は義の和」を現代の経済活動・ビジネス活動にあてはめると、
「道理に適った経済活動、収入を得るやり方・方法が本来の利益となり、
道理に背いたやり方は、本当の利にはならない」という事です。

『易経』は5000年前には成立しており、
起源をたどれば数万年前とも言われています。
天の道理、地の道理が人間の実生活に大きな影響を及ぼす事を
生活の中で体験してた古代の人々の知恵が「文言」となって
後の世の人々へのメッセージ・教え・訓戒となったと思います。

道理とは、本来「当たり前のこと」ですが、
私利私欲の為に、自分達の都合の良いように生きています。

学問をして、覚(さと)り、本来あるべき姿は何なのか、
正しい経済活動の価値観や考え方を学んでいかなければなりません。
易経.jpg
ジャンル:中山のひとりごと。
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